「『表現の自由』の守り方」を読みました

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こんばんは。

先日、”「表現の自由」の守り方”という書籍を購入しました。

この書籍は、参議院議員である山田太郎氏(今年7月の参院選で改選)が書いた本で、「表現の自由」をテーマに、「日本で何が起こっているのか」「山田太郎議員自身がこれまで何をしてきたか」「今後どういうことが起こりうるか」などを、さまざまなトピックに対して書いている本です。

星海社のサイトで57ページも試し読みができます)

さまざまなトピックというのは、「児童ポルノ禁止法」「TPPによる著作権制度の変更」「国連による勧告」「有害図書と軽減税率」「通信の秘密」「青少年健全育成基本法」です。

また、著作権関係で精力的に活動しておられる漫画家の赤松健さん(同人マークの考案者)との対談も掲載されています。

冒頭には10ページ程度の小説「COOL JAPAN 2020」が載っています。これは「もし表現の自由を保護する策が一切取られなかったら」という「もう一つの日本」のIFストーリーです。主人公は女性漫画家で、なかなかゾッとする物語です。もちろん上記の試し読みページで読めます。

「これまでに、日本の『表現の自由』を脅かす事例として、どのようなことがあったのか」は、冒頭の小説を見れば分かります。幸い(山田議員の活躍もあり)防げた事態が「もし防げていなかったら」という設定で(最悪のケースを想定して)書かれています(防げたことだけではなく「今後起こりうる事態」も書かれています)。最悪のケースと言っても、あり得ない絵空事では無いようです(韓国で実際に起きた状況も参考にされているそうです)。

マンガ・アニメ・ゲーム愛好家の方は、試し読みだけでも(冒頭の小説だけでも)読んでみる価値はあると思います。無料です。

今回は、「山田太郎議員とは何者か?」から始め、この本の紹介・感想を書いていきたいと思います。

山田太郎議員とは何者か?

山田太郎議員については、以前から名前は知っていました。

公式サイト:https://taroyamada.jp/

Wikipedia:山田太郎 (参議院議員)

名前を知ったきっかけは、TPPの著作権非親告罪化に関するニコニコ生放送でした。確かコミックマーケットで行われたものだったと思います。赤松健さんが出てたやつ。

山田議員を知る人たちの間での評判は「オタクのヒーロー」というようなものでした(国会でコミケや二次創作の保護などのテーマを積極的に取り上げているため)。

山田議員は、2010年に行われた参院選で、みんなの党から全国比例で出馬し、落選したものの繰り上げ当選で国会議員になることができた方です。

みんなの党が解党してからは、所属議員の一部で結成された「日本を元気にする会」に参加していましたが、つい最近離党しました。

おおさか維新の会に入党したものの、とある事情で翌日に離党を希望し、おおさか維新から除籍されるという件がニュースになっています。

山田太郎参院議員、入党からわずか2日でおおさか維新を離党 党の反応は?(ハフィントンポスト)

山田太郎議員、「おおさか維新の会」を2日で離党 「表現規制の戦い」のため(ライブドアニュース)

【書き起こし】山田太郎議員、おおさか維新の会・入党2日目で離党届を提出(ログミー)

そのため、現在は無所属。今年7月の参院選で全国比例に出馬するために、所属政党を探している状況です(比例は政党からでないと出馬できません)。

山田議員の専門は、日本国憲法第21条の「表現の自由・通信の秘密」です。

特に「表現の自由」について精力的に活動されており、コミケに何度も参加したり、全国とらのあな行脚を行ったりしています(とらのあなというのは同人誌などを販売している店です)。

表現の自由を守るため、「表現の自由を守る党」という政党を作り、サポーター(一般市民の支援者)を募集しています。現在、サポーター数は2万人を超えていますが、目標は参院選公示までに4万人だそうです。

ただし、この党は党員が山田議員の1名のみなので、比例代表に候補者を出せる「政党要件」を満たしていません(「政党」という言葉にはいろいろな定義があります)。「表現の自由」という特定の目的のみを掲げる政党に所属しようとする人はなかなかいないのでしょう。

それでは、書籍の内容の紹介と、山田議員のこれまでの活動をさらっと書いていきます。

「表現の自由」は幅が広い

山田議員の専門は「表現の自由」ですが、この「表現の自由」というものは、かなり範囲が広いテーマなのです。

マンガ・アニメ・ゲーム愛好家に関係のあるテーマでは、性的な表現を扱う「児童ポルノ問題」「女性差別問題」「青少年健全育成基本法」、二次創作などに関する「TPPと著作権非親告罪化」、出版社の自主規制に繋がりうる「有害図書指定」など。

他には、最近話題の「報道の自由」や、検閲などに繋がりうる「通信の秘密」なども、「表現の自由」に関わる重大なテーマです。

さらに、児童ポルノ問題を扱う上で、「ではどういう児童保護手段が優れているのか」という代替案を用意するために、児童の保護についても真剣に考えなければいけません。

有害図書指定については、軽減税率の適用に関する文脈で出てきた問題(本は大事だから消費税8%のままにするべきだが、エロ本などは軽減せずに10%にするべきでは?その線引きは?という問題)なので、税制についても考えなければいけません。

「表現の自由」ひとつを確保するために、これだけ多くのテーマを扱わなければいけません。

これらのテーマについて、山田議員がこれまで実行してきたことが書籍には書かれています。

冒頭でリンクを貼った試し読みページでは、児童ポルノ禁止法に関する内容の半分程度まで読めます。

山田議員の戦い方

私はこの本を読むまで、国会議員がどうやって仕事をしているのかを知りませんでした。

国会中継は何度か見たことがあって、ニュースも見るので、時にパネルを使いながら、野次の飛び交う中で論戦を繰り広げる、というイメージがありました。

しかし、この本を読んでそのイメージが変わりました。

例えば、議員が委員会などで政府に対して質問をするとき、事前に「質疑通告」という質問リストを渡すのだそうですが、「事前に質問を渡すと『どう言い訳をするか』『どうごまかすか』などを入念に考えられるので、良くないのでは?」と思っていました。

しかし、”「表現の自由」の守り方”104ページにはこうあります。

私は、国会は政府を困らせる場ではなく問題を解決する場だと思っているので、できる限り事前に内容を伝えるようにしています。大臣の答弁には法律と同じだけの力がありますから、いじわるをするより、しっかりと準備してもらい、答弁の場では言質を取った方が合理的ではないでしょうか。

(「言質を取る」とは、「交渉事などで,後で証拠となるような言葉を相手から引き出す」という意味です)

また、国会での質疑の前に官僚や議員と打ち合わせをする「レク」に対する考え方について、194ページで

これは私の戦術なのですが、事前のレクで不安定な結論にしか至らなかった議題については、国会で扱わないようにしています。下手に質問をして、答弁が意図しない形で行われれば、その答弁がその場で事実として確定してしまうのです。それでは意味がない

と書いてあります。

「はじめに」の21ページには

本当に大切なのは、閣議決定、大臣の言質を取る、法律を作る、修正する、附帯決議を付ける、責任者に記者発表をさせる……などの明確な形でもって目的を勝ち取ることです。決して、国会の場で政府や与党を潰すことではありません。

とあり、64ページには

大切なのは、相手を論破することではなく、自分の勝ち取りたいものを勝ち取るための戦略です。

とあります(すべて太字は原文準拠)。

つまり、山田議員の戦い方は、「自分が持っていきたい方向(表現の自由の保護)にしか進めなくするための言質を取る」という方法です。国会の場などの、NHKや民放の中継がある状態で、してほしい発言をさせて、後戻りできなくする、ということです。具体的な成果(法案の修正など)を得るためだけの行動です。決して「与党に失言をさせて叩いて支持率を下げる」ことではありません。

これは非常に良いことだと思います。「野党議員のあるべき姿」そのものだと思います。

そして、その理念に基づいて取ってきた行動、勝ち取った成果がこの書籍にはたくさん記載されています。

山田議員の勝ち取った成果については賛否あると思いますが、「効果のある行動を取る」という姿勢は評価されるべきだと思います。

また、「言質を取る」という目的のために、109ページにはこのようなことが書かれています。

2015年8月17日には、MANGA議連の古屋圭司会長や馳幹事長を連れて、東京の国立新美術館で開催していた「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展を見に行きました。

……(中略)……

古屋議員も馳議員も、「同人」という言葉はそこで初めて耳にしたのだと思いますが、「そうか、そんなに大事なのか」と重要性を認識したようです。……(中略)……そもそも「二次創作」とか「コミケ」という言葉を知らなければ、国会でも答弁自体を引き出せないわけです。だから、「二次創作を守る」という言質が欲しければ、事前に「二次創作」という言葉を知っておいてもらわなければならない。そんなふうに「仕込み」を始めていきました。

欲しい言質を欲しい相手から取る。その為に、相手が「『欲しい言質』を発言できる状況」を事前に整備しておく。そして、事前に打ち合わせをして、欲しい言質がとれるなら国会で質問して発言してもらう。欲しい言質が取れそうになければ、意図しない方向での既成事実化を防ぐために、国会で扱わない。

そういう戦い方を山田議員はしているようです。

「具体的にどういう言質を取ってきたのか」は書籍に書かれています。試し読み部分にはあまり書かれていませんが、後半の「国連からの外圧」「有害図書と軽減税率」「通信の秘密」の章には、上記の戦法による、鮮やかとも言える戦いぶりが記載されています。

自分の無知を実感

さて、この本を読んだ感想ですが、自分の無知を実感しました。

というのも、私は著作権には興味があるので日頃から色々調べており、TPPに関する動きなどもある程度把握していたのですが、児童ポルノ問題(この書籍には「児童ポルノ」という名称は良くないと書いてある。児童性虐待記録物と言うべきだとか。もちろん理由も記載)や軽減税率と連動する有害図書指定の話、青少年健全育成基本法案が国会に提出されていたこと(それも通常の提出とは異なる巧妙な手口で)などはあまり知りませんでした。

しかも、自分が知らなかったことのなかには、結構重大なものもあり、「こんな重要なことが起きていたということを自分は今まで知らなかったのか」と思いました。

マンガ・アニメ・ゲーム愛好家の方は、山田議員を支持するかどうかは皆さんの自由としても、何が起こっていたのかは知っておくべきだと思います。もちろん、マンガ・アニメ・ゲーム愛好家の方でなくても。

そのため、書籍購入とまではいかなくても、試し読み(10ページ程度の小説だけでも)をすることをおすすめします。もう一度リンクを掲載しておくので、ぜひご覧になってください。

試し読みページ:『「表現の自由」の守り方』山田太郎 - 星海社新書 | ジセダイ

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