日本語の発音 鼻濁音

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こんばんは。今回は日本語の発音シリーズ(?)第二弾です。

今回のテーマは「鼻濁音」です。国語もしくは音楽で聞いたことがあるかもしれません。私は音楽の授業で知りました。

鼻濁音は、国語の教育指導要領では指導義務が無い知識ですが、ナレーターやアナウンサーには必ず必要な知識・技術です。声優や役者も必ず身に着けているでしょう。

歌唱にも非常に大きく関わるので、歌手も身に着けているはずです。特に演歌や民謡などでは必須の技術です。

NHK日本語発音アクセント辞典で「管弦楽団」を引くとこのように書いています。

IMAG1190

文字の上にある横線はアクセント記号です。2通りのアクセントがあるんですね。

「管弦楽団」の読み方は「カンゲンガクダン」であるはずなのですが、上の画像では「ゲ」が何かおかしいですね。

「ケ」に半濁点(丸記号)という、「ケ゜」表記になっています。

半濁点はパ行でしか使わないはずですが、どういうことでしょうか。

カ行+半濁点="鼻濁音"

「管弦楽団」の「ケ゜」のように、カ行に半濁点が付いた文字は「鼻濁音」と呼ばれる発音を表します。(発音記号独特の表記です)

「鼻濁音」とは、ガ行の発音を本来の「破裂音」ではなく、鼻に息を通す「鼻音」として発声する音です。

お笑い芸人の山本高広(織田裕二のモノマネする人)が軽部真一アナのモノマネをするときの「~ですがー、」の「が」の言い方です、と言って伝わればそれで大丈夫です。

amazarashiというバンドのボーカルの秋田ひろむさんは鼻濁音をよく使います。「ミサイル」という曲の1番A,Bメロでは、「輝きを」「アナウンサーが」「未来が」「攻撃の」「聞きながら」「ぶら下がる」のガ行は全て鼻濁音です。ただしサビ直前の「ミサイルが」の「が」は鼻濁音ではなく普通の破裂音でした。

Wikipediaの軟口蓋鼻音のページで音を聞くことができます。

せっかくなのでちょっと詳しく解説します。

カ行・ガ行の音は、「舌の奥(根元)の部分を」「上あごの奥の部分(指で押すと軟らかい部分あたり。軟口蓋と言う)に付けて」「完全に空気の通り道(気道)を閉鎖して(さらに空気が鼻へ抜けないようにして)」「息を吐こうとして(実際は気道が閉鎖されているので吐けない)」「一気に気道を開放して(舌を降ろして)息を放出する」ことで発音します。

このカ行・ガ行の発音は「軟口蓋破裂音」と呼ばれます。軟口蓋に舌を付けて、息を完全に止めてから放出して発音するので。そのうち、カ行は息放出の瞬間に声帯が振動していないので「無声軟口蓋破裂音」、ガ行は息放出の瞬間に声帯が振動しているので「有声軟口蓋破裂音」と言います。

鼻濁音とは、この「有声軟口蓋破裂音」を「有声軟口蓋鼻音」にしたものです。(ただし「鼻音」はその特徴から「無声」になり得ないので、「有声」は省略されることが多いです。)

「鼻音」とは、口の中で空気の通り道(気道)を完全に閉鎖した状態で、空気が鼻へ抜けるようにして、息を吐きながら声帯を振動させることで「んー」と発音しつつ、軌道の閉鎖を開放して息の通り道を鼻から口に滑らかに変更することで発音する音です。

「ナ行」と「マ行」が鼻音です。ナ行を破裂音にするとダ行、マ行を破裂音にするとバ行になるので、

破裂音→ 鼻音

ダ行 → ナ行

バ行 → マ行

ガ行 → 鼻濁音(ガ行鼻濁音)

という対応が成り立ちます。基本的に鼻濁音現象はガ行でしか発生しないので、ガ行鼻濁音のことを「鼻濁音」と呼ぶことが多いです。(方言などでは他の破裂音が鼻音化することがあるかもしれません)

発音記号では[ŋ]と表記されますね。この子音単独では「ン」という音になりますが、直後に母音が来るとガ行鼻濁音になります。

ちなみに、「ニュース」という単語を発音するとき、実は「ニュ」の音でガ行鼻濁音になっていることが非常に多いです。「ニ」は舌の縁が上あごの硬い部分(硬口蓋)に付くのに、「ニュ」になると下の根元が上あごの奥の軟らかい部分(軟口蓋)に付く発音をしてしまうのです。

ただし、「離乳」や「リニューアル」になると、「リ」の発音の段階で舌の先が上がっているのでガ行鼻濁音にならない場合が多いような気がします。舌の縁全体が硬口蓋にぴったり付くスタンダードな「ニ」の発音です。

さて、「カンケ゜ンガクダン」を擬似的に発音記号で書くと、[ka ŋ ŋe ŋ ga ku da n]のようになります。「ガ」の[ga]は破裂音です。実際に発音してみてください。電子辞書に日本語発音アクセント辞典が入っているものを所持している人は音声を聞くことができるので、「管弦楽団」をぜひ聞いてみて下さい。

ちなみに、VOCALOIDでは軟口蓋鼻音の子音ŋは大文字のNで表記されます。

「管弦楽団」は[k a][N][N e][N][g a][k M][d a][n]です。([M]はウの母音です。[u]じゃないので注意)

実際にアクセントも考慮して鏡音リンV4X Powerに「管弦楽団」を発音させたのがこちら↓

ボカロの鼻濁音はちょっと分かりにくいかもしれませんが、頑張って「ケ゜」と「ガ」の子音の違いを聞き取ってみてください。

ボカロエディタはこんな感じ。BPM150です。パラメータ調整は一切無しです。ちゃんと中四高の台形ピッチにしてあります。

スクリーンショット 2016-01-04 11.39.12

歌詞流し込みで「かんげんがくだん」を書くと「ゲ」を[g e]にされてしまうので、発音記号直接編集(音符をダブルクリックして文字入力状態にしてから[Alt]キーを押しながら[↓]キーを押す)で[N e]に変更しています。最後も[N\]になるので[n]に変更しています。

日本語では軟口蓋鼻音(鼻濁音)と有声軟口蓋破裂音(ガ行)を区別しないんですね。このことを、日本語は軟口蓋鼻音と有声軟口蓋破裂音を「弁別しない」と言うことがあります。発音として異なるものを、言語として考えるときに区別しない、という意味です。「どっちでもええ」ということですね。

ただし、アナウンサーやナレーターはちゃんと区別して正しい使い方をしないといけません。「こえ部」という音声投稿サイトに投稿されている上手な朗読やナレーションなどで鼻濁音がちゃんと使用されていないと「惜しいな」と思ってしまいます。

鼻濁音を上手く使えると格段にプロっぽくなると思うので、喋ることに関する活動をしている方はぜひ考えてみて下さい。では。

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