こんにちは。ふるやん(@furuya1223)です。
前回に引き続き、漢検1級に関する記事です。
この記事では、今回の漢検1級で4回目の挑戦にして初合格した私が、自分の勉強法を参考におすすめ勉強法を紹介します。
まず、自分の勉強法について紹介した後に、今から1級を目指すならどう勉強するのが良さそうかを考えて書いてみます。
独自理論だらけなので気をつけてください。
自分の勉強法について
あくまで私の勉強法と、私が感じたことを紹介するだけになりますが、勉強法について書いてみます。
今回の漢検の結果
最初に今回(R4-3)の大問ごとの点数を載せておきます。
合計点は164点でした。
大問 | 点数 | 正答率 |
---|---|---|
1:読み(音読み) | 16/20 | 80% |
1:読み(訓読み) | 6/10 | 60% |
2:書き取り | 34/40 | 85% |
3:語選択・書き取り | 6/10 | 60% |
4:四字熟語(書き) | 16/20 | 80% |
4:四字熟語(意味と読み) | 10/10 | 100% |
5:熟字訓・当て字 | 8/10 | 80% |
6:熟語の読み・一字訓読み | 8/10 | 80% |
7:対義語・類義語 | 14/20 | 70% |
8:故事・諺 | 18/20 | 90% |
9:文章題(書き) | 18/20 | 90% |
9:文章題(読み) | 10/10 | 100% |
合計 | 164/200 | 82% |
訓読みと語選択の正答率が低いのを、四字熟語と故事諺で補っている状態ですね。
前回の漢検で故事諺の点数が低かったので、今回までに故事諺を訓練していたのが奏功しました。
また、今回は文章題が易しめだったので助かりました。
訓読み対策が疎かになっているのが問題ですね。
また、今回の対類は過去問からの出題が多かったので、過去問にあまり取り組んでいないのも良くないです。
次回までに訓読みと過去問に重点的に取り組みます。
辞書
よく使った辞書は以下のとおりです。
少ないですね。
漢検漢字辞典を紙の辞書として買いましたが、あまり使いませんでした。「辞書さらい」は効率が悪そうなのでやっていません。(今後、知識が高まって180点合格を目指すとかになったらやります)
代わりに、iOS アプリ「辞書 by 物書堂」の中でも漢検漢字辞典を購入し、こちらを頻繁に使いました。
漢検1級にチャレンジする iPhone ユーザーは、辞書 by 物書堂の漢検漢字辞典を絶対に買いましょう。
変換で出せない漢字も手書き入力で検索できるので非常に便利です。博物館とかで見つけた知らない漢字もすぐに検索できます(漢検配当内なら)。
また、辞書 by 物書堂の中では大辞泉も買っています。これは漢検とは関係なく欲しくて買ったものですが、漢検の勉強にも使えます。
Android アプリに代わりのものがあるかどうかは把握していないです。ごめんなさい。
漢検四字熟語辞典は、1級四字熟語を覚えるために使いました。
別の資料である程度1級四字熟語を勉強したあとで、「1級四字熟語に印を付ける→1級四字熟語の読みだけ見て漢字を書く→書けなかったところに付箋を貼る→たまに復習して書けたら付箋を外す」という勉強をしていました。意味が分からないものはついでに意味も確認します。
1級四字熟語はそこまで数が多くないので、辞書を一通り見るのも耐えられます。
漢字音符字典は、同じ形を持つ漢字の読みをまとめた書籍です。不要という意見も多く、私も無くても良いとは思います。
ただ、私は試験直前に「形が似ていて音読みが紛らわしい漢字」をチェックするのによく使いました。「涓」と「捐」と「悁」とか。
他に、新明解故事ことわざ辞典、広辞苑、故事俗信ことわざ大辞典を買っています。
新明解故事ことわざ辞典は、たまに参照した程度でした。
広辞苑は勉強のためというより単純に欲しかったので買いました。有志の方が作成された模試を解いたときに、知らない単語が漢検漢字辞典・大辞泉・広辞苑のどれかにあったら覚える、という判断基準としてたまに参照しました。
しかし、広辞苑はアプリで良いものが無いという欠点があるので、漢検漢字辞典とは別に中型国語辞典を1つ持っておきたいと考える iPhone ユーザーは辞書 by 物書堂の大辞泉だけで良いと思います。
故事俗信ことわざ大辞典は、PCにソフトをインストールして検索するために買いました。ページを捲らず調べられるのは便利です。
これらは使わなかったわけではないですが、そこそこのお値段ということもあって優先度は低いです。
テキスト・資料
私が使った主なテキストや資料は以下の通りです。
模試以外の資料はだいたい Quizlet というサービス(後述)で単語帳にして学習していました。
- 分野別精選演習
- 頻出度順問題集
- 四字熟語辞典オンライン(1級四字熟語)
- 漢検1級模擬試験倉庫さんの資料
- 漢字逞筆さんの資料
- 音読み◆1~◆5(◆5はさらっと)
- 訓読み◆1~◆3(◆4もやった方が良いと思います)
- 国字
- 熟字訓・当て字◆1~◆2(◆3もちょっと見たがあまり取り組めず)
- (熟語・一字訓読みは取り組みませんでしたが、◆1~◆4をやった方が良いと思います)
- 対義語・類義語◆1(◆2、◆3もやった方が良いと思います)
- 故事成語・ことわざ◆1~◆5(◆5はさらっと)
- 逞筆模試1~10
- 大見出し語2146書き取り練習帳(KANJIHOLICさん)(本番約一週間前から総浚い)
- インスピさんの広辞苑熟語表、#インスピ広辞苑クイズ
- 熟語表は広辞苑クイズの途中までが収録されているので、これに最新ツイートをくっつけて単語帳を作っていました。
- ひでまろ氏問題集の類義語
- きくりんさんの1級四字熟語動画(YouTube)(試験直前期に確認)
- 709infoさんの難読漢字検定 ver.2.0
- 主に音読み。遊び感覚でたまにやってた
- 過去問
- 国会図書館の遠隔複写サービスで入手
- 10回分くらいやった。理想的には直近5~10年分くらいやりたい
勉強に使ったアイテム
常に目に入る位置に勉強内容を表示しておきたかったので、壁に貼れるタイプのホワイトボードを購入しました。
私が買ったのはこれ↓です
大見出し語表を勉強するときに、覚えにくい熟語を読み・意味と一緒に書いておいたりしていました。
今も新たに覚えたい言葉たちを書いています。
また、単語帳アプリとして Quizlet を使いました。
Quizlet には「学習」と「単語カード」のモードがあります。
「学習」では、間違えた問題を細かく復習できるので初学段階で有用です。
「単語カード」では、すべてのカードを覚えたかどうかで分類し、覚えていないものを再び最初から確認して分類できます。一度学習した単語帳の知識を定着させたり思い出したりするために、未定着がゼロになるまで単語帳を回していました。
ちなみに、「学習」モードは多分有料プラン専用です。私は課金してます。
Quizlet はブラウザ版のサイトで、Excel等のデータをコピペして単語カード追加ができるので便利です。
単語帳アプリには Anki というものもありますが、自分は合格までは使っていませんでした。
今回合格して、これから「獲得済みの知識の定着」のために Anki を使おうと思っています。
漢字5万字ポスターの存在を知っていたのですが、1級漢字だけが載っているポスターが欲しかったので、Excelで作ってA4コピー用紙複数枚に印刷してテープでつなげて壁に貼っていました。これは意味があったのか分かりません。
Excelのファイルはこちらです。主に音読みの五十音順で並んでいます。
読みとかも分かるように作るべきだった気もしますが、作業が面倒だったので諦めました。
以上が自分の勉強に用いたものです。
どういう順序で勉強したのかは思い出すのが大変なので書けませんでした。代わりに、今の自分が考えるおすすめ勉強法を紹介します。
今から勉強する人に勧める勉強法
漢検準1級に合格し、これから1級の勉強をするという人が知り合いにいたら、こういう勉強の流れをお勧めするかな、という勉強法を考えました。
勉強法は人によって合う合わないがあるので、ここに書いた勉強法を見た上で、自分に合うやり方を模索していただけたら良いかと思います。もちろんそのままこれに則ってもらっても大丈夫です。
以下の3ステップに分けて紹介します。期間は人それぞれなので書いていません。私はトータル2年ぐらいかかりました。
- 基礎知識の獲得(目標:90~120点)
- 分野別に知識を増やす(目標:140点前後)
- さらに詰める(目標:160点~)
はじめに
漢検1級の問題は、以下の9つの大問で構成されます。
- 読み
- 書き取り
- 語選択・書き取り
- 四字熟語
- 当て字・熟字訓
- 熟語音読み・送り仮名あり訓読み
- 対義語・類義語
- 故事・成語・諺
- 文章題
ただし、勉強する内容が9つあるかというとそうではありません。同じ種類の知識が問われる大問があるからです。
漢検1級で勉強する分野を書くと、以下のようになるかなと思います。完全に独自の分類です。
カッコ内の番号は、その知識が関わる大問の番号です。太字の番号は、その知識が最も重要になる大問です。
- 単漢字の知識(1, 6)
- 語彙(2, 3, 7, 9)
- 音読み(1, 6, 9)
- 訓読み(1, 6, 9)
- 書き取り(2, 8, 9)
- 四字熟語(2, 4, 8, 9)
- 故事諺(2, 4, 8, 9)
- 当て字・熟字訓(5)
「単漢字の知識」は、1級配当の漢字のうち、大見出し語に登場する漢字の「意味・書き・主な訓読み・大見出し語1つ」の知識を指すイメージです。これは「よく知らない漢字に出会ったら辞書で調べる」ということを徹底しれいれば良いので、このためだけの勉強はしません。
「語彙」は、常用漢字のみで構成されるものも含む、二字・三字熟語の知識です。熟語じゃない語彙もありますが、それは「単漢字の知識」の方に分類しておきます。
「書き取り」は「語彙」と紛らわしいですが、よく知っている言葉の書き取りや、訓読みの書き取りなど、言葉の知識を増やす必要が無い書き取り訓練のことを指しています。
「四字熟語」と「故事諺」は色々な大問に関わっています。
例えば、今回の試験で大問2の書き取りに「コウロ上一点の雪」という問題がありましたが、「紅炉上一点の雪」は新明解故事ことわざ辞典に載っている諺です。
大問2の書き取りで「キョウコウ謹言」が出たこともあります。これは漢検四字熟語辞典に載っている四字熟語です。
「醴酒設けず」という、新明解故事ことわざ辞典に載っている言葉が「醴酒不設」という四字熟語の形で出題されたこともあります。「醴酒不設」は漢検四字熟語に載っていません。
文章題でも、故事諺や四字熟語の書き下し文の一部が書き問題になることが多々あります。
そういう形で、四字熟語と故事諺は色々な大問に影響します。
以上のことから、「四字熟語」「故事諺」「語彙」の優先度は高く、「熟字訓・当て字」の優先度は低くなります。
序盤の勉強の流れは、1級四字熟語と1級漢字を使う基礎的な語彙を頭に入れてから、範囲を広げていきます。
基礎知識の獲得
まず最初に、必ず把握しておくべき漢検1級の基礎知識を獲得します。
以下の順番で取り組みましょう。
- 過去問を解いてみる
- 1級四字熟語(約900個)を覚える
- 1級大見出し語表(1346語)を覚える
- 1級訓読み表を覚える
- 問題集の四字熟語・音読み・書き問題を覚える
まず、漢検のサイトで公開されている1級の過去問を解いてみましょう。このとき、問題と解答をダウンロードしておくと良いです。このステップの最後にもう一度解きたいので。
私はどの段階で解いたか忘れましたが、最初に解いた過去問は確か40点だったと思います。2割ですね。普通に20点切ることもあると思います。
出題形式を把握しつつ、気合を入れましょう。特に、音読みが見た目から推測できなくて驚くと思います。音読みもたくさん暗記する必要があります。
勉強に入っていきますが、まずは1級四字熟語をやりましょう。これは絶対です。
※ ただし、「〇〇之○」という形の四字熟語は、ここでは一旦スルーします。四字熟語の大問では出題されず、優先度が少し下がるためです。
1級四字熟語は900個程度で数が多すぎず、エピソードと結びつけて意味を覚えられるものが多いので取り組みやすいです。
また、1級四字熟語の前半や後半の二字熟語が読み・書き・諺・文章題で出題されることも多いです。1級四字熟語を覚えると、他の分野でも点数が上がります。
私は四字熟語辞典オンラインさんの1級四字熟語から単語帳を作って勉強しましたが、漢検四字熟語辞典を見るのでも良いと思います。
漢検四字熟語辞典は、四字熟語の下に「1級」と書いてある部分を赤ボールペンで丸囲みしました。四字熟語そのものではなく、「1級」の部分です。
1級四字熟語はすべて「ひらがな表記だけを見て漢字が書けるし、意味も分かる」という状態にしましょう。
ただし、この時点で全て完璧に一生忘れないレベルまで定着させる必要は無くて、8割くらい定着したら、四字熟語の復習を継続しつつ次のステップへ進んで大丈夫です。
1級四字熟語を一通り覚えたら、模擬試験倉庫さんの1級大見出し語表を覚えましょう。
この表にある熟語が漢検1級の語彙の基礎です。本番では絶対に落とせない語彙です。(それでも落とすことはあるのですが、これを落とすと非常に悔しいです)
まず、この表にある熟語の読みを覚えましょう。そのときに、漢検漢字辞典で意味も調べておきましょう。表のすべての熟語について「読める・意味が分かる」という状態にしましょう。
それができたら、今度はこの表の熟語の読みと意味を見て、書けるようになりましょう。
asatoriさんのブログ記事を使いましょう。
ただし、書きは難しいので100%完璧にできなくても大丈夫です。9割くらいを目指して、たまに復習しましょう。
続いて、訓読みです。
訓読みには、送り仮名があるものと無いものがありますが、送り仮名があるものの方が優先度は高いです。
なぜなら、大問(六)の「熟語・一字訓読み」でも問われますし、大問(九)の「文章題」でも出やすいからです。
ということで、まずは倉庫さんの1級訓読み表(送り仮名あり)を覚えましょう。
これは書き対策をせず、読みだけで良いです。
読みが覚えにくいものについては、漢検漢字辞典に載っている「読みと同じ意味で使われている熟語」をメモしておきましょう。例えば、「耘る(くさぎ-る)」なら「耕耘」など。
訓読みを覚えるときに重要なのは「熟語とセットで覚える」ということです。
今後、分からない訓読み問題に出会うたびに「その意味で使われている音読み熟語」を調べましょう。これをするとしないとでは訓読みの定着率が段違いです。
そういう音読み熟語が見つからない場合もあります。その場合は、漢検漢字辞典の大見出し語になっているなら覚えて、そうでないならその訓読みは一旦捨てましょう。
続いて、倉庫さんの訓読み資料の中にある1級訓読み表(生物・天地人・衣食住・道具・無形・未分類)の訓読み表に取り組みます。
こちらも読みを覚えるのですが、ややこしいものは完璧に覚えなくても良いです。
容器を表す「かめ・もたい・ひさご・ほとぎ」などのように似ていてややこしいものは、「この字は容器を表すんだな」というように、意味をざっくり把握する程度でも大丈夫です。ややこしくないものは覚えましょう。
また、「二版読み」と書かれているものは一旦スルーで良いです。
1級四字熟語と大見出し語表、送り仮名のある訓読みをだいたい覚えたら、精選演習と頻出度順の「四字熟語」「音読み」「書き取り」に取り組みましょう。
順番は好きなようにやって大丈夫です。
中には常用漢字のみで構成された四字熟語や、大見出し語表に無い熟語の書き取りなどもありますが、それほど多くないと思うのでここで覚えてしまいましょう。
これらのテキストは漢検1級の過去問に基づいて作られていますが、漢検1級では半分程度が過去問からの出題になっているので、過去問範囲を勉強する意味はあります。「過去問で出たからもう出ない」ということはありません。
ここまで来れば、漢検1級の基礎知識が手に入っています。本格的な勉強のスタートラインに立っています。
最初に解いた過去問をもう一度解き直してみると、100点くらい取れるかもしれません。回によって難易度にばらつきがあるので、取れなくても大丈夫ですが、確実に解ける問題が増えていると思います。
解ける問題が増えると楽しいですね。この調子で知識を増やしていきましょう。
分野別に知識を増やす
基礎知識が身についた後は、試験の各分野に合わせて知識を増やしていきます。
主に漢字逞筆さんの問題集を活用します。
明確に順番は無いので、好きな分野からやると良いと思います。
取り組むときは「音読みの◆1~◆4を終わらせてから訓読みに」とかではなく、低いレベルからまんべんなくやっていきましょう。
ただし、国字は過去問を解く直前に一気に対策すれば良いです。125問ですし、国字を書く問題以外に活用できない知識なので。
過去問はたまに解きましょう。難易度にばらつきがあるので、挑戦するたびに点数が上がるとは限りませんが、以前だと分からなかったはずの問題を解けたときは嬉しいです。
勉強内容:
- 音読み:逞筆さん音読み◆1~◆4
- 訓読み:逞筆さん訓読み◆1~◆3、逞筆さん熟語・一字訓読み◆1~◆4
- 書き
- 倉庫さんの訓読み書き問題
- 語彙強化
- 熟字訓・当て字
- 精選演習・頻出度順
- 逞筆さん熟字訓・当て字◆1~◆2
- Ankiという単語帳サービスを使うと良いらしい
- 故事諺
- 逞筆さん故事成語・ことわざ◆1~3
- 四字熟語
- (ことわざ対策をある程度やった後で)きくりんさんの1級四字熟語動画(YouTube)
- 1.5~2倍速で再生して確認
- (ことわざ対策をある程度やった後で)きくりんさんの1級四字熟語動画(YouTube)
- 対義語・類義語
- 逞筆さん対義語・類義語◆1~◆2
- 国字
- 過去問を解く前に、逞筆さんの国字問題をすべて覚える
- 全般
- 精選演習・頻出度順の各問・模試
- 過去問
- たまに、自分の点数と苦手分野を把握するために解く
各分野とも、上記資料に取り組む前に精選演習・頻出度順に取り組んでも良いです。いきなり上記資料に取り組むのは量が多すぎて辛いという場合は、まず問題集にあるものを覚えましょう。
以下、各分野について詳細解説です。
音読みは数が多いので、逞筆さんのサイトから入手したExcelファイルを編集して、すでに知っている言葉や推測で読めるものを削除して、残ったもので単語帳を作ると良いと思います。
単語帳は、私は Quizlet を使っていましたが、Anki でも良いです。好きなものをどうぞ。紙の物理単語帳は作成が苦行なので、アプリやソフトウェアのものが良いです。
訓読みは逞筆さんの問題をやりましょう。読めないものは辞書で調べて、熟語も見ておきましょう。
語彙強化は、1級大見出し語表と同じように、まず「読める・意味が分かる」という状態にしましょう。続いて、書きの練習として書き取り練習帳を使いましょう。練習帳には1級大見出し語も含まれますが、復習としてやってみましょう。漢字が不安なもの以外は、実際に書く必要は無いです。常用漢字も書いてたら時間かかるので。
熟字訓・当て字は、まず精選演習・頻出度順にあるものを覚えましょう。この段階では、量がそれほど多くないので紙の物理単語帳を作っても良いと思います。それが終わったら、逞筆さんの◆1、◆2に取り組みましょう。
聞くところによると、熟字訓・当て字は Anki を使うのが良いらしいです。私もそう思います。Anki で単語帳を作る場合は、逞筆さんの◆3ぐらいまで入れて大丈夫だと思います。
ただし、熟字訓・当て字は深追い禁物です。ここを極めても10点にしかならないので、あまり時間を割きすぎないようにしましょう。
故事諺は、逞筆さんの問題をひたすら解きましょう。知らない漢字や言葉は辞書で確認しましょう。単語帳を作るときは、ちゃんと答え側に意味も載せておきましょう。
四字熟語は、1級四字熟語の復習だけで良いです。常用四字熟語も普通に出題されますが、出題数が少ない上に他の大問への波及効果が小さいので後回しで大丈夫です。というか私は常用四字熟語をほとんど対策せずに合格しました。
対義語・類義語は逞筆さんの問題を解きましょう。
たまに過去問を解きましょう。過去問を解く前に、「しばらく国字の勉強をしていないな」と思ったら国字の勉強をしましょう。
ここまで来れば、140点ぐらい取れるようになっていると思います。
諸々のTips
ここで、知っておくと役に立つかもしれない情報を書いておきます。
大問1の訓読みでは、文語体(古語っぽいやつ)の送り仮名に注意しましょう。
例えば、今回の試験で「黷る」という問題がありました。答えは「けが-る」ですが、これは「けが-れる」の文語体です。「初心忘るべからず」の「忘る」みたいなやつですね。
私は文語体の可能性を考慮できず、というかそもそもこの字の訓読みを知らず、「あなど(る)」と書いてバツでした。「字の意味はなんとなく分かるけど訓読みが読めない」という問題があれば、文語体の可能性を考慮してみましょう。
音読み・訓読み・書き全てに関して、十干十二支が問われることがあります。
十干について。私はまず「こう、おつ、へい、てい、ぼ、き、こう、しん、じん、き」という音読みを呪文のように唱えて覚えました。「こう」が被っていますが、最初が「甲」なのは知っているので、後のほうが「庚」です。
漢字もこの順番でおぼえます。「甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」です。
私は詳しくはないのですが、十干は陰陽五行説に関連しているようです。「五行」とは中国の昔の思想における元素みたいなもので、「木火土金水」の5つです。この順番が大事です。「もっかどこんすい」と言うらしいと聞いたことがあるので、これを覚えます。
十干の音読みは、「○のえ」または「○のと」になっています。この「え・と」は「兄」と「弟」に対応しており、○の部分に五行が順番に入ります。つまり、「木のえ、木のと、火のえ、火のと、……」となります。「え」が先です。「金」は「かのえ・かのと」になるので注意です。
このルールと十干の順番を覚えておけば、「辛」の十干としての訓読みなどと導くことができます。
十二支については、訓読みの順番と漢字は覚えていたので、音読みを暗記しました。「し、ちゅう、いん、ぼう、しん、し、ご、び、しん、ゆう、じゅつ、がい」です。
これで十干十二支の読みが分かるようになりました。
さらにケアレスミスを防ぐコツとして、きくりんさんのこちらの動画を参考にするなどしていくつかの組み合わせを覚えておくと良いです。
十干十二支は「十干」と「十二支」の組み合わせですが、毎年「十干」と「十二支」の両方が一つ進むため、あり得る組み合わせは120通りではなく60通りです。10と12の最小公倍数です。
さらに、十干の方は「○のえ」と「○のと」が交互に現れるため、十二支は「○のえ」としか繋がらないものと、「○のと」としか繋がらないものに二分されます。
例えば、「丙午(ひのえうま)」という言葉を知っていれば、「午」は「○のえ」としか繋がらないということが分かります。そのため、うっかり数え間違い等で「壬午」を「みずのとうま」と書いてしまったとしても、「午は”と”には繋がらないはずだぞ」と考えて修正することができます。
国字について。125問だけしかないので、絶対に落とさないようにしましょう。
125個覚えて確実に4点もらえるというのは、効率が良いです。しかも、「竡」みたいな単位のやつはルールが分かれば簡単なので、覚えるものは少し減ります。
例えば、1級四字熟語は900ぐらいですが、四字熟語問題30点分のうち、1級四字熟語は8割程度です。つまり、1級四字熟語は900個で24点。国字と同じような効率になりますが、国字は一字と読みを覚えれば良いのに対して四字熟語は四字と読みと意味を覚える必要があります。なので、雑に言うと国字は1級四字熟語よりも4倍以上効率が良いです。
ただし、たまーに準1級配当の国字が出題されるので、一応そっちにも目を通しておきましょう。
さらに詰める
そろそろ合格点が見えてきた頃かもしれませんが、ここから点を上げるのが非常に大変です。言葉を新たに2000個覚えて6点増えるとかです。やべーよこの試験。
この段階では、過去問や有志の方が作成してくださった模試、あるいは本番試験を受けて、苦手な分野を強化することが必要です。(ただし当て字・熟字訓は優先度低いです)
そのため、人によって使う資料は異なりますが、例としていくつか資料を挙げておきます。
なお、高度な内容に取り組むあまり今までの内容が抜け落ちないようにしましょう。優先度はこれまでの範囲の方が高いので、これまでに学んだ知識を維持することも重視しましょう。高難度領域は深追いしすぎないように。
- 音読み
- 逞筆さん音読み◆5
- 語彙
- インスピさんの広辞苑熟語表、#インスピ広辞苑クイズ
- ひでまろ氏問題集の類義語
- ランダム語選択
- ランダム類義語
- 倉庫さんのスーパー類義語問題
- 四字熟語
- 倉庫さんの常用四字熟語800
- 故事諺
- 逞筆さん故事成語・ことわざ◆4, 5
- 過去問・模試
- 過去問5~10年分くらい
- 逞筆模試1~10
- 倉庫模試41~50・直前模試
過去問や模試に取り組む際は、間違えた問題だけでなく、問題側の知らない言葉についても調べておきましょう。特に、四字熟語の読みと対義語・類義語は消去法で正解することもあるので、知らない言葉があればちゃんと確認しましょう。
上に挙げたもの以外に、ツイッターで問題を投稿されている方のツイートを見てみるのも良いと思います。だいたいハッシュタグや特定のワードを伴っていると思うので、ツイート検索しましょう。
また、この段階になると取り組む問題のなかで解けないものの割合が減っているはずなので、間違えた問題だけを書いておくノートを作成するのもありです。私は4ページくらいで止まっていますが。
このノートを作る場合は、たまに見返したり本番直前に確認したりしましょう。
過去問に取り組むときの注意事項ですが、約7年以上くらい前の漢検1級は今よりも簡単なので、普通に180点とか出ることがあります。漢検1級は少し前まで難化傾向があり、今も難易度はある程度高いまま維持されているので、昔の過去問の点数を見て安心しすぎないようにしましょう。平成27年度以前と比べると今は遥かに難しいです。
ここに掲載したもの以外の分野を補強したい場合は、模擬試験倉庫さんの資料を探せば良いかと思います。
文章題の力は他の分野(語彙・書き・読み)を訓練していれば自然と上がりますが、長文の中で解くということに苦手意識がある場合は倉庫さんの文章題資料を解くと良いかと思います。私はやっていないので効果は不明ですが。
本番直前
私がやっていた本番直前の取り組みを紹介します。おすすめというより自分のやり方の紹介なので、好きなようにやれば良いと思います。
まず、試験の2週間~1周間前になったら、食事中や電車での移動中などにきくりんさんの1級四字熟語動画を倍速でひたすら見ていました。意外と忘れてたりする。
また、大見出し語の復習としてKANJIHOLICさんの大見出し語書き取り練習帳で書けないものが無いかチェックしましょう。この資料が公開されたのが今回の試験の1週間ほど前だったので、私はそこからすぐに取り組みました。
形が似ていて音読みが紛らわしい漢字について、漢字音符字典で調べるのも直前にやっていました。
国字についても前日か当日に確認します。
あとは、苦手な分野や最近復習できていなかった分野について復習をしていました。
試験終了後
誰かが解答速報を作ってネット上に投稿すると思うので、それを用いて自己採点しましょう。
合格点に達した場合はもうそれで大丈夫なので、達しなかった場合について書きます。
間違えた問題は基本的にすべて覚えましょう。次に同じ問題が出たら確実に答えられるように。過去問と同じように、問題側の知らない言葉も調べておきましょう。
そして、次回までに強化すべき分野を確認しましょう。
正答率が低い大問を強化対象にしても良いです。
間違えた問題のうち、簡単な方の問題を選んでいって合計点数が(160-自分の点数)になるように選ぶと、「これらを正解できていたら合格できてたセット」が得られるので、これを参考に強化対象を設定しても良いです。
試験の結果を基準に強化対象を決めるのが良いと思います。
例えば、「あまり対策できていないけど減点の原因になっていない分野」があっても、その分野が今回たまたまとても簡単だったとか出ない限りは、今のままで良いんじゃないかと思います。
今まで勉強した知識の維持+強化対象の勉強を続けていれば、次回の点数が上がると思います。
以上が、個人的におすすめの漢検1級の勉強法です。
私が把握していない良い資料も存在するとは思うので、本記事に書いた方法以外にも色々試して自分に合う勉強法を模索していただくと良いかなと思います。
おわりに
漢検1級は非常に難しい試験で、合格まで何年もかかることが普通ですが、決して不可能な難易度ではありません。
ある程度効率が悪くない勉強を地道にコツコツしていれば点数は着実に上がっていきます。
長い勉強期間の中でも、知識が増えていくことを楽しんで、苦しみすぎないようにいきましょう。
私も次回170点以上での合格を目指して頑張ります。